妊娠初期のつわりは、「食べたいのに食べられない」「飲み物を受けつけない」と悩む人が多い症状です。
匂いや味に敏感になり、今まで好きだった食べ物や飲み物が突然ダメになることもあります。
そんな中でも、体と赤ちゃんのために必要な栄養や水分を少しずつ摂る工夫が大切です。
この記事では、つわり中でも食べやすい食べ物・飲みやすい飲み物・無理なく栄養を補えるサプリを厳選して紹介します。
さらに、吐き気が強いときの食事の工夫や、医師も推奨する栄養補給のポイントも詳しく解説。
「何なら食べられる?」「飲めるものがない」「サプリはいつから?」と悩む妊婦さんに役立つ実践的な情報をまとめました。
つわり中でも安心して摂れる食べ物・飲み物とは?
つわりの時期は、食べ物や飲み物の匂い・味・温度に敏感になり、これまで普通に食べられていたものが受けつけなくなることがあります。
しかし、妊娠初期は赤ちゃんの成長に必要な栄養を摂る大切な時期でもあるため、「食べられるものを無理なく摂る」という姿勢が基本です。
ここでは、つわりの原因や時期ごとの症状の違い、そして安心して口にできる食べ物・飲み物の考え方を解説します。
- つわりの原因と時期による症状の違い
- なぜ食べ物や飲み物の好みが変わるのか
- 栄養を無理なく摂るための基本ポイント
「何も食べられない」と落ち込む必要はありません。小さな工夫で体も心もぐっと楽になります。
つわりの原因と時期による症状の違い
つわりは、妊娠初期(妊娠5〜16週頃)に多く見られる症状で、ホルモンの急激な変化が主な原因とされています。
特にhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが増加することで、吐き気・食欲不振・嗅覚過敏などが起こります。
妊娠初期の5〜8週では吐き気や匂いの不快感が強く出やすく、10〜12週頃になると少しずつ症状が軽減するケースが多いです。
ただし、個人差が大きく、妊娠後期まで続く「後期つわり」になる人もいます。
症状の波に合わせて「食べられる時に食べる」「飲める時に飲む」を意識することが大切です。
なぜ食べ物や飲み物の好みが変わるのか
つわり中に酸っぱいもの・冷たいもの・炭酸などを好むようになるのは、体が自然と「食べやすいもの」を求めているサインです。
妊娠によるホルモンの変化で味覚や嗅覚が鋭くなり、脂っこい・香りの強い食品が苦手になる傾向があります。
また、体温や血糖値の変化も関係しており、急に「冷たいものが飲みたい」「果物が食べたい」と感じるのは珍しくありません。
大切なのは、食べられないものを無理に摂ろうとせず、そのとき体が受け入れやすい食べ物・飲み物を選ぶことです。
少量でも構わないので、食べられるものを見つけて体調に合わせて取り入れましょう。
栄養を無理なく摂るための基本ポイント
つわりの間は、完璧な栄養バランスを目指す必要はありません。
むしろ、「今食べられるものから少しずつ摂る」ことが最も重要です。
体調が良い時に、消化がよく・においが少なく・冷たい食品を中心に取り入れましょう。
果物・ゼリー・うどん・豆腐などは胃への負担が少なくおすすめです。
また、脱水を防ぐために、常温または冷たい飲み物でこまめに水分を摂るようにしましょう。
どうしても食事がとれない場合は、ビタミンやミネラルを補える妊婦向けサプリを併用すると安心です。
大切なのは、「無理をしない」「我慢しすぎない」こと。体調に合わせて臨機応変に食事内容を変えていきましょう。
【食べ物編】つわり中におすすめの食べやすい食品
つわり中は、においや味に敏感になり、普段の食事がとれなくなることがあります。
そんな時は、「食べられるものを食べられる時に」を意識することが大切です。
ここでは、妊婦さんの体験からも支持が高い「つわり中に食べやすい食べ物」をジャンル別に紹介します。
- さっぱり系(冷たい果物・ゼリー・そうめんなど)
- 主食系(おかゆ・うどん・パン・クラッカー)
- タンパク質が摂れる軽めの食事(豆腐・卵・ヨーグルト)
- コンビニや外食で選びやすい食べ物
- 避けたほうがいい食べ物(脂っこい・においが強い食品)
自分に合う食べ物を少しずつ見つけて、無理なく栄養を摂るようにしましょう。
さっぱり系(冷たい果物・ゼリー・そうめんなど)
吐き気が強い時や食欲がない時は、さっぱりした冷たい食べ物が食べやすい傾向があります。
おすすめは、りんご・みかん・グレープフルーツ・キウイなどの果物や、ゼリー・寒天などのデザート類。
これらは水分補給にもなり、胃に負担をかけずにエネルギーを補えます。
また、冷やしたそうめんや冷製うどんも、匂いや味が淡白で食べやすいメニューです。
果物はビタミンCが豊富で疲労回復にも役立つため、朝や間食に取り入れると効果的です。
主食系(おかゆ・うどん・パン・クラッカー)
炭水化物は体を動かすエネルギー源であり、つわり中も少量ずつこまめに摂ることがポイントです。
おかゆやうどんなどの温かく柔らかい食べ物は、消化がよく胃にも優しいです。
一方で、温かいものが苦手な場合は冷ましたおにぎりやパン、クラッカーなどを試してみましょう。
塩味の効いたプレーンクラッカーは吐き気を和らげる人も多く、妊娠初期に人気の軽食です。
パンを選ぶ際は、バターや甘みが強いものよりトーストやロールパンなどシンプルなものがおすすめです。
タンパク質が摂れる軽めの食事(豆腐・卵・ヨーグルト)
つわり中でも体の成長や赤ちゃんの発育には、タンパク質が欠かせません。
豆腐・卵・ヨーグルト・牛乳など、消化に良くにおいが少ない食材から取り入れるのがコツです。
豆腐は冷やして食べると食べやすく、たんぱく質やカルシウムの補給にもなります。
卵はゆで卵や卵スープにすると消化が良く、調理時のにおいが気になる場合は冷ましてから食べましょう。
ヨーグルトは酸味があって口当たりもよく、腸内環境を整える働きもあります。
無糖タイプに果物を少し入れると栄養バランスもアップします。
コンビニや外食で選びやすい食べ物
つわり中でも外出時や仕事中に食べる機会はあります。
そんなときは、コンビニでも買える軽食を上手に利用しましょう。
おすすめは、おにぎり(梅・昆布などのあっさり系)、冷やしうどん、サラダチキン、フルーツゼリーなど。
温めずに食べられるものや、匂いが少ない食品を選ぶと負担が少なく済みます。
外食では、和食や定食屋の「冷奴」「茶碗蒸し」「湯豆腐」などが食べやすいでしょう。
無理をせず、少しずつ自分のペースで摂取することが大切です。
避けたほうがいい食べ物(脂っこい・においが強い食品)
つわり中は、油っこい・香りの強い・刺激のある食品を避けるようにしましょう。
揚げ物・カレー・焼肉などはにおいが強く、吐き気を誘発しやすい傾向にあります。
また、マヨネーズやバターなどの脂質が多い調味料も胃への負担が大きくなります。
温かい食べ物の匂いが苦手な場合は、冷ましてから食べるか、冷たいメニューを選ぶのが◎。
どうしても食欲がないときは、水分やゼリーでしのぎながら、体調が落ち着いた時に栄養を補いましょう。
「食べられない自分を責めないこと」もつわり対策の一つです。
【飲み物編】つわり中でも飲みやすい飲み物
つわり中は食べ物だけでなく、飲み物さえ受けつけないという方も少なくありません。
しかし、水分不足は脱水症状や便秘、血流の悪化などを招くため、少しずつでも水分を摂ることが大切です。
ここでは、つわり中でも比較的飲みやすく、体にやさしい飲み物の選び方と工夫を紹介します。
- 炭酸水・スポーツドリンク・麦茶・レモン水の活用
- 温かい飲み物が合わないときの工夫
- カフェインレス・ノンカフェイン飲料の選び方
- 飲み物で水分・電解質を効率的に補う方法
無理に一度にたくさん飲もうとせず、少量をこまめに摂るのがポイントです。
炭酸水・スポーツドリンク・麦茶・レモン水の活用
つわり中は、喉ごしがよくスッキリした飲み物が人気です。
特に炭酸水は、口の中をリセットして気分をリフレッシュさせてくれます。
胃のムカムカがあるときは微炭酸タイプを選ぶと刺激が少なく飲みやすいでしょう。
また、食欲がない時はスポーツドリンクで水分と電解質を補うのがおすすめです。
ただし糖分が多いものもあるため、薄めて飲むと体に負担がかかりにくくなります。
他にも、麦茶・レモン水などカフェインのない飲み物は、日常的な水分補給に最適です。
レモンやミントを入れると香りで気分がすっきりし、つわりの不快感を軽減できます。
温かい飲み物が合わないときの工夫
つわり中は温かい飲み物の匂いが苦手になる人が多く、常温や冷たい温度のほうが飲みやすい傾向があります。
冷たい麦茶・ルイボスティー・白湯を少し冷ましたものなどを試してみましょう。
冷やしすぎると胃に負担がかかるため、体調に合わせて温度を調整します。
また、ストローを使うと匂いを感じにくく、吐き気を起こしにくくなります。
飲み物を「ペットボトルごと」ではなく、小さなコップで分けて飲むと心理的にも飲みやすくなります。
無理せず、自分の体調に合う温度・香りのものを選ぶことが大切です。
カフェインレス・ノンカフェイン飲料の選び方
妊娠中はカフェインの摂取を控える必要があるため、カフェインレス飲料を選ぶようにしましょう。
おすすめは、麦茶・ルイボスティー・黒豆茶・たんぽぽコーヒーなど。
これらはノンカフェインでありながら、ミネラルや抗酸化成分も含まれているため、体にやさしい飲み物です。
市販の「カフェインレス紅茶」や「デカフェコーヒー」も人気ですが、香りが強すぎる場合は控えめにしましょう。
飲む量の目安は1日1〜2杯程度。無理に我慢せず、自分の体が落ち着く飲み物を見つけることが大切です。
体質によってはノンカフェインでも胃に刺激を感じる場合があるため、初めて飲む際は少量から試すのがおすすめです。
飲み物で水分・電解質を効率的に補う方法
つわり中は吐き気や嘔吐によって脱水症状になりやすいため、水分補給を意識する必要があります。
1回でたくさん飲もうとせず、1時間ごとに少しずつ飲むのが理想的です。
電解質(ナトリウム・カリウムなど)を補うために、スポーツドリンクや経口補水液(OS-1など)を上手に取り入れましょう。
果物のスムージーやゼリー飲料も、水分とビタミンを同時に摂れるので便利です。
塩分の取りすぎに注意しつつ、体が受け入れやすい温度と味を見つけることが大切です。
水分が摂れない・尿の回数が減る・めまいがするなどの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
【サプリ編】つわり中の栄養サポートにおすすめの成分
つわりがひどくて食事や飲み物がうまく摂れないときは、サプリメントでの栄養補給が有効です。
特に妊娠初期は、赤ちゃんの発育に必要な栄養素をしっかり摂ることが大切ですが、無理に食べる必要はありません。
サプリを上手に活用すれば、吐き気を悪化させずに必要な栄養をサポートできます。
- 葉酸サプリ(妊娠初期に必須の栄養素)
- ビタミンB6で吐き気をやわらげる
- 鉄・カルシウム・マグネシウムのバランス補給
- サプリを選ぶときの注意点(添加物・飲み合わせ)
ここでは、つわり中の体調に配慮しながら摂り入れたいおすすめ成分を詳しく解説します。
葉酸サプリ(妊娠初期に必須の栄養素)
葉酸は、赤ちゃんの神経管の発達を助ける重要なビタミンで、妊娠初期に最も必要とされる栄養素です。
厚生労働省も、妊娠を計画している人・妊娠初期の人に1日400μgの葉酸摂取を推奨しています。
食事から十分に摂るのが理想ですが、つわり中はほうれん草やブロッコリーなどの葉物野菜が食べにくくなることも多いです。
そのため、葉酸サプリで手軽に補うのがおすすめです。
できるだけ吸収率の高い「モノグルタミン酸型」の葉酸を選び、添加物が少ないものを選びましょう。
他のビタミン(B6・B12)と一緒に摂れるタイプを選ぶと、より効率的に体に吸収されます。
ビタミンB6で吐き気をやわらげる
つわりの症状を軽減する成分として注目されているのが、ビタミンB6です。
ビタミンB6には神経伝達を整える働きがあり、ホルモンバランスの変化による吐き気や食欲不振をやわらげる効果があります。
特に妊娠初期のつわりでムカムカ感が強い人や食べても吐いてしまう人に効果が期待できます。
ビタミンB6はマグロ・鶏むね肉・バナナなどに多く含まれますが、食べられないときはサプリでの摂取が便利です。
葉酸とセットで配合されたマタニティ向けサプリを選ぶと、体にやさしく無理なく取り入れられます。
ただし、ビタミンB6の過剰摂取はしびれなどの副作用を引き起こす恐れがあるため、1日あたり50mgを超えないよう注意しましょう。
鉄・カルシウム・マグネシウムのバランス補給
妊娠中は赤ちゃんの発育に多くのミネラルが使われるため、鉄・カルシウム・マグネシウムの摂取も重要です。
特に鉄分は不足すると貧血や疲労感につながり、つわりのだるさを悪化させる原因になります。
カルシウムやマグネシウムは筋肉や神経の働きを整えるため、体調を安定させる助けになります。
鉄分サプリを選ぶ際は、ヘム鉄タイプを選ぶと胃への負担が少なく、吸収率も高いです。
また、カルシウムとマグネシウムは2:1の比率で摂るとバランスが良くなります。
一度に多く摂るよりも、食事と一緒に少量ずつ分けて摂取するのが効果的です。
サプリを選ぶときの注意点(添加物・飲み合わせ)
妊娠中のサプリは、安全性と成分のバランスを重視して選ぶことが大切です。
人工甘味料・保存料・香料などの添加物が多いものは、胃の刺激になりやすいため避けましょう。
また、複数のサプリを併用すると成分が重複して過剰摂取になるリスクがあります。
特に鉄・ビタミンA・ビタミンB6などは取りすぎに注意が必要です。
サプリを飲むタイミングは、食後または寝る前など吐き気の少ない時間帯を選ぶのがおすすめです。
不安な場合は、かかりつけの産婦人科に相談して、自分に合った種類・量を確認してから服用するようにしましょう。
サプリは「つわりを治すもの」ではなく、あくまで栄養サポートとして取り入れる意識が大切です。
【食べられない時】つわりを乗り切るコツと工夫
つわりのピーク時は、何を食べても気持ち悪く感じたり、水分さえ取れないほどつらい時期があります。
そんなときは「無理して食べる」よりも、体に負担をかけずに少しでもエネルギーを補う工夫が大切です。
ここでは、食べられない・飲めない時に試したい対処法や、日常生活の中でできる工夫を紹介します。
- 食べられない・飲めない時にできること
- 食べられる時間帯・タイミングを見つける
- におい対策とキッチン環境の工夫
- 冷凍食品・常備品を上手に使う
「頑張って食べる」よりも、「少しでも食べられたらOK」と考えることが、つわりを乗り切る第一歩です。
食べられない・飲めない時にできること
まず大切なのは、「何も食べられない=悪いことではない」と理解することです。
数日間しっかり食べられなくても、赤ちゃんへの影響はほとんどありません。
無理に食事をとろうとせず、食べられる時に少量でも摂るようにしましょう。
食べ物が受けつけない時は、ゼリー飲料・スポーツドリンク・果汁100%ジュースなどでエネルギーと水分を補給します。
どうしても飲めない時は、氷を口に含む・凍らせた果物をなめるなど、口の中を潤す方法でもOKです。
2日以上ほとんど水分が摂れない場合は、脱水症状の危険があるため早めに病院を受診しましょう。
食べられる時間帯・タイミングを見つける
つわりの症状は1日中続くわけではなく、時間帯によって波があるのが特徴です。
朝がつらい人は昼や夜に、夜に吐き気が出やすい人は朝や午後に、比較的楽な時間を見つけて食事をとりましょう。
「起きてすぐ食べると気持ち悪い」という人は、ベッドのそばにクラッカーや飴を置いておくのもおすすめです。
一度に食べる量を減らして、1日5〜6回に分けて少しずつ食べる「分食スタイル」にすると体が楽になります。
また、匂いや見た目で食欲がなくなることもあるため、無理に食卓に座らずに立ったままやテレビを見ながら食べても構いません。
「完食よりも完走」――つわりの時期は、食べられるリズムをつかむことが大切です。
におい対策とキッチン環境の工夫
つわり中は嗅覚が敏感になり、料理中のにおいや食べ物の香りで吐き気が悪化することがあります。
調理をする際は、できるだけ換気をしっかり行い、窓を開けたり換気扇を強めに回すようにしましょう。
どうしてもにおいがつらい場合は、調理済み・冷凍食品を活用し、自分で火を使う時間を減らします。
また、冷たい料理は匂いが立ちにくく、食べやすい傾向があります。
食事を作る人と食べる人を分けたり、食事の時間をずらすなど、周囲の協力も大切です。
においを感じにくいストローや紙コップを使うのも一つの工夫です。
冷凍食品・常備品を上手に使う
つわり中は「作るのも食べるのもつらい」という人が多いため、冷凍食品や常備食を活用して体への負担を減らしましょう。
おすすめは、冷凍うどん・白がゆパック・冷凍フルーツ・レトルトスープなど。
これらは温めるだけで食べられ、匂いも少ないのでつわり中でも比較的取り入れやすいです。
また、フルーツやゼリーを冷凍しておくと、吐き気が強い時に口をさっぱりさせるおやつとして役立ちます。
炭酸水やポカリスエットなどを冷蔵庫に常備しておくと、飲みたい時にすぐ手に取れる安心感があります。
「頑張らずに乗り切る工夫」を意識することで、つわりの時期を少しでも快適に過ごせます。
【時期別】つわりの変化とおすすめの食事対策
つわりの症状は妊娠の時期によって変化し、妊娠初期・中期・後期それぞれで体調や食べられるものが違います。
自分の時期に合わせて食事内容を調整することで、体への負担を減らしながら栄養を摂ることができます。
ここでは、時期ごとに見られるつわりの特徴と、それぞれの時期に合った食事対策を紹介します。
- 妊娠初期(5〜8週)の強い吐き気への対策
- 中期(12〜16週)に入ってからの食事回復期
- 後期につわりが続く場合の注意点
つわりは人によって差がありますが、「無理をしない」「体調に合わせる」ことがどの時期も共通のポイントです。
妊娠初期(5〜8週)の強い吐き気への対策
妊娠5〜8週は、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが急増する時期で、つわりのピークを迎えます。
吐き気・食欲不振・匂いに対する過敏さが強く出やすく、食事が思うように摂れない方が多いです。
この時期は「無理に食べよう」とせず、食べられるものを少しずつ・こまめに摂るのが基本です。
冷たい果物、ゼリー、クラッカーなどの軽食や、スポーツドリンク・炭酸水で水分を補給しましょう。
朝起きた直後にクラッカーを1枚食べる「寝起き対策」も吐き気軽減に効果があります。
どうしても飲食が難しい場合は、病院で点滴治療を受けることもできます。
数週間で軽くなる人が多いので、「今は耐える時期」と割り切って体を休めましょう。
中期(12〜16週)に入ってからの食事回復期
妊娠12〜16週頃になると、つわりの症状が落ち着き始め、少しずつ食欲が戻る回復期に入ります。
この時期は体が栄養を吸収しやすくなっているため、バランスの良い食事を意識することが大切です。
急に食欲が戻って食べ過ぎてしまうと、胃もたれや体重増加につながるため注意しましょう。
おかゆ・スープ・うどんなどの消化の良い主食を中心に、タンパク質やビタミンを少しずつ増やしていきます。
また、食事のにおいが気にならなくなったら、温かい食事も試してみましょう。
サプリで補っていた葉酸や鉄分を、野菜・魚・肉・大豆製品から摂るように切り替えていくと自然な栄養バランスが整います。
「食べられる喜び」を感じながら、体調に合わせた食事内容を続けるのがポイントです。
後期につわりが続く場合の注意点
妊娠後期にも「後期つわり」と呼ばれる症状が現れることがあります。
これは、子宮が大きくなって胃や腸を圧迫し、消化不良や胸やけ、吐き気が起こることが原因です。
後期つわりでは、少量ずつ何回かに分けて食べる「分食」が基本です。
脂っこい料理や辛い食べ物は避け、消化に良いメニューを選びましょう。
食後すぐに横になると胃酸が逆流しやすいため、食後は30分ほど体を起こしたままにしておくのがおすすめです。
また、食べ過ぎによる体重増加も注意が必要な時期なので、腹八分目を心がけてください。
後期つわりが強い場合は、逆流性食道炎などの病気が隠れていることもあるため、医師に相談しましょう。
つわりが続いても焦らず、自分のペースで無理なく乗り切ることが大切です。
つわり中でも意識したい水分と栄養のバランス
つわりの時期は、食事や飲み物をうまく摂れず、脱水症状や栄養不足になりやすい時期です。
食べられなくても、水分と最低限の栄養を意識することで、体調の悪化を防ぎやすくなります。
ここでは、つわり中でも意識しておきたい水分・栄養バランスの取り方と、サプリを上手に使った補給のコツを解説します。
- 1日の摂取目安と脱水症状のサイン
- 吐き気があっても栄養を確保する方法
- サプリと食事の上手な組み合わせ方
「食べられないから何も摂れない」と思わず、できる範囲で水分と栄養を維持する意識を持つことが大切です。
1日の摂取目安と脱水症状のサイン
妊娠中は普段よりも体の水分量が増えるため、1日あたり1.5〜2リットルを目安に水分を摂取することが推奨されています。
ただし、つわりで一度にたくさん飲むのが難しい場合は、1時間おきに少量ずつ飲むようにしましょう。
冷たい麦茶・レモン水・スポーツドリンク・経口補水液など、体調に合う飲み物を選ぶのがポイントです。
脱水症状のサインとしては、尿の回数が減る・尿が濃い色になる・口の中が乾く・めまいがするなどがあります。
これらの症状がある場合は早めに休息を取り、症状が強いときは医師に相談を。
また、吐き気が強いときは氷をなめたり冷凍果物を口に含んで、口内を潤すだけでも効果的です。
吐き気があっても栄養を確保する方法
つわり中は「無理に3食しっかり食べる」よりも、食べられる時に少しずつ栄養を摂ることが重要です。
食欲がないときでも、ゼリー飲料・スープ・ヨーグルト・豆腐などは比較的食べやすく、ビタミン・ミネラル・たんぱく質を補えます。
果物や野菜ジュース、スムージーなども手軽に栄養が摂れるおすすめの方法です。
吐き気が強い人は、食事のにおいを避けるために冷めた料理を選ぶと食べやすくなります。
「温かい=栄養がある」という思い込みにとらわれず、自分の体が受け入れられる形で栄養を摂るようにしましょう。
それでも食べられないときは、医師の指導のもとで妊婦向けサプリや栄養補助ゼリーを取り入れるのも一つの方法です。
サプリと食事の上手な組み合わせ方
サプリメントは、つわり中の「食事の補助」として取り入れるのが理想です。
特に妊娠初期は、赤ちゃんの発達に欠かせない葉酸・ビタミンB群・鉄分を意識的に摂る必要があります。
食事からこれらの栄養を摂るのが難しい場合は、マタニティ専用の葉酸サプリで不足分を補いましょう。
また、食事とサプリを一緒に摂ることで吸収率が上がる栄養素もあります。
例として、鉄分サプリはビタミンCを含む果物と一緒に摂ると吸収が良くなります。
逆に、カルシウムと鉄分を同時に摂ると吸収を妨げることがあるため、時間をずらして飲むのがポイントです。
サプリを摂る時間は、体調が比較的安定している午後や夜のタイミングがおすすめです。
「食事+サプリ」で無理なくバランスを保つことが、つわり期の体づくりにつながります。
よくある質問(FAQ)
Q1. つわりで食べられない時はどうすればいい?
まずは「食べられない自分を責めない」ことが大切です。
数日食べられなくても、胎児に影響することはほとんどありません。
無理に食事を摂ろうとせず、ゼリー飲料・果物・スポーツドリンクなどでエネルギーと水分を補いましょう。
吐き気が強い場合は、少量を数回に分けて摂取するのがポイントです。
2日以上水分が摂れない、体重が急に減る、尿の回数が減る場合は早めに病院を受診してください。
Q2. 食べ過ぎても大丈夫?
つわりが落ち着くと、反動で「食べづわり」になる人もいます。
空腹時に気持ち悪くなるタイプのつわりでは、食べ過ぎてしまうことも珍しくありません。
ただし、一度に多く食べると胃を圧迫して吐き気を悪化させることがあるため、少量をこまめに食べるのがおすすめです。
体重増加が気になる場合は、カロリーの高いスナックや甘いものを控え、果物やおにぎりなどで調整しましょう。
Q3. 水も飲めないときは病院に行くべき?
はい。水も飲めないほどの重いつわり(妊娠悪阻)の可能性があります。
特に、2日以上ほとんど水分を摂れない・尿が出ない・体重が3kg以上減った場合は、脱水症状の危険があります。
病院では点滴で水分と電解質を補い、体調を安定させることができます。
つわりがひどいときは「我慢せず受診」が鉄則です。
Q4. サプリはどのタイミングで飲むのがいい?
サプリメントは体調が落ち着いている時間帯に摂取するのがベストです。
朝に吐き気が強い場合は、昼または夜の食後に飲むと負担が少なくなります。
葉酸やビタミン系のサプリは、食後に摂取することで吸収率が上がります。
また、鉄分サプリは空腹時を避け、果物などビタミンCを含む食品と一緒に摂ると吸収が良くなります。
心配な場合は医師や助産師に相談し、自分に合った種類や飲み方を確認しましょう。
Q5. 妊娠中に避けたほうがいい食べ物・飲み物は?
妊娠中は、赤ちゃんの健康を守るために避けたほうがよい食品があります。
- 生魚・生肉・加熱不足の卵(リステリア菌やトキソプラズマ感染のリスク)
- カフェインを多く含む飲み物(コーヒー・紅茶・エナジードリンク)
- アルコール飲料(胎児への悪影響があるため完全にNG)
- ナチュラルチーズ(非加熱タイプは菌感染のリスク)
また、スパイスや辛い食べ物は胃を刺激することがあるため、つわり中は控えるのが無難です。
一方で、カフェインレス飲料や加熱済み食品は安全に取り入れられるため、上手に置き換えましょう。
まとめ:つわり中も無理せず、自分のペースで食べられる工夫を
つわりは多くの妊婦さんが経験する自然な現象であり、「食べられない時期」も体のサインです。
無理をせず、自分の体調に合わせた食べ方・飲み方を見つけることが大切です。
水分をこまめに摂り、食べられるときに食べる。これだけでも体は少しずつ安定していきます。
また、必要に応じてサプリで栄養を補いながら、心と体をいたわる時間を過ごしましょう。
つわりは永遠には続きません。焦らず、自分のペースで少しずつ前向きに乗り越えていきましょう。
